チャンネルデバイダ: 矩形波、インパルス応答、群遅延、STEP特性


使用機材:BEHRINGER DCX2496 (3Way設定、クロスオーバ周波数:300Hz、3000Hz)

     加算回路(各周波数帯域を合成しシュミレーションする為、オペアンプによる自作回路)

     USB AUDIO INTERFACE UA-1EX

使用ソフト:Sound i t !(録音し波形を見る)

      WAVE GENERATER 141(信号発生器)

      ARTA:IMP-ANALYSIS (インパルス応答、分析)


1. 矩形波の再生


矩形波:「室内矩形波再生、先行音/室内音響②」のページで使用した信号と同じ内容で測定。

 

500Hz 矩形波 上:再生波形 下:原信号

1-1. チャンデバ 6/6 dB/oct 再生波形

チャンデバ 6/6 dB/oct 再生波形

波形の再現は良好

(約1/2波長の遅れはチャンネルデバイダー及び測定系の遅れ)

(超低域は減衰しているので波形の上と下はやや傾斜している)


1-2. チャンデバ 12/12 dB/oct 再生波形

チャンデバ 12/12 dB/oct 再生波形

信号の先頭と終わり共に基本波(500Hz)成分は半波長分(1ms)程度遅れている。


1-3. チャンデバ 24/24 dB/oct 再生波形

チャンデバ 24/24 dB/oct 再生波形

同様に基本波成分は1波長(2ms)程度遅れている。


1-4. チャンデバ 48/48 dB/oct 再生波形

チャンデバ 48/48 dB/oct 再生波形

同様に基本は成分は2波長(4ms)程度遅れている。


(参考)

1-4-(2). 48DB/oct

矩形波では基本派の立ち上がり部分の波形が分りにくいので

「SINE WAVE」300Hzの立ち上がり部分を測定。

チャンデバ 48dB/oct サイン波300Hz 立ち上がり

 

立ち上がり部分の小さい波形は高調波(原信号の立ち上がり部分に高調波を含むため)

群遅延時間は 5.5ms、300Hz:1.6波長分遅れている


 

 この項まとめ

6dB/oct(1次)以外は次数が大きくなるのに比例して低域の遅れが大きくなる。 先行音部で結構崩れる。

3-1. Group delay time(群遅延時間)を参照


2. インパルス、ステップ応答


2-1. チャンデバ Impulse 応答 (Butterworth タイプ)

 測定波形が見えずらい時は画像の上でクリックしてください。拡大します。

チャンデバ 6dB/oct インパルス

6dB/oct

12dB/oct チャンデバ インパルス波形

12dB/oct


24dB/oct  チャンデバ インパルス波形

24dB/oct

48dB/oct  チャンデバ インパルス波形

48dB/oct


6dB/oct は原信号どうり再現。12dB/octは逆相接続を含むのでマイナス側の面積も大きい

前項の矩形波の終わりの部分と同様。

3-1. Group delay time(群遅延時間)を参照:インパルスにはあらゆる周波数を含むので、

群遅延時間の大きい周波数が遅れて現れる。

2-2. チャンデバ step 応答

チャンデバ 6/6dB/oct step 再生波形

6dB/oct

時間遅れなし

チャンデバ 12dB/oct step 再生波形

12dB/oct

逆相接続を含むので、マイナス側にも振れが 大き い

チャンデバ 24dB/oct Step 再生波形

24dB/oct

ピークまで約2.5ms

チャンデバ 48dB/oct Step 再生波形

48dB/oct

ピークまで約4.3ms

 



3. 群遅延特性


   *群遅延時間の計算式:位相の変化を微分して得られる              Tg=-dΦ/dω

そこで例えば 「48dB/oct」 のカーブから位相変化の一番大きな所は 200Hz~400Hz と 2.5kHz~4.5kHz付近(クロスオーバー付近)、分母に周波数がくるので低い周波数のほうが大きい。

3-1. Group delay time(群遅延時間)、 (Butterworth タイプ)

チャンデバ 6dB/oct 群遅延

6dB/oct

低域以外は遅れは無い(低域は測定系全体でフラットでないため)

チャンデバ 24dB/oct   群遅延

24dB/oct

300Hz付近(クロスオーバー)遅れ 約2.3ms

チャンデバ 12dB/oct 群遅延

12dB/oct

300Hz付近(クロスオーバー)遅れ 約1ms

 

チャンデバ 48dB/oct 群遅延

48dB/oct         

300Hz付近(クロスオーバー)遅れ 約5.5m


3-3.群遅延時間の許容値

周波数 許容値 許容値波長換算 6 dB/oct 12 dB/oct 24dB/oct 48 dB/oct
40Hz 55ms 2.2波長 5ms 8ms 14ms
75Hz 24ms 1.8波長 3ms 7ms 17ms
500Hz 3.2ms 1.6波長 0.5ms 1.8ms 3.2ms

 チャンネルデバイダの群遅延時間はクロスオーバー付近で大きくなるので、

75Hz、500Hzの群遅延時間はクロスオーバー周波数をその周波数に設定した時の実測値

45Hzの値はクロスオーバーを75Hzに設定した時の実測値

 

*許容値の「引用」:

① CCIR(国際無線通信諮問委員会)の高品質信号伝送線の満たすべき条件 とし て上記の基準を勧告して いる(CCIR 1974年勧告)

 

② Journal of the Acoustical Society of America 63 (5): 1478・483 (Hi-FiF 再生の許容値)として下記の基準を示している。

Frequency Threshold
500 Hz 3.2 ms
1 kHz 2ms
2 kHz 1ms
4 kHz 1.5ms

 

 チャンネルデバイダーを通 過し た、矩形波、インパルス、ステップ、群遅延の各特性はフィルターの次数が高いほど変化が大きくなる。
特に群遅延特性はウーハーやサブウーハーを接続した状態で確認が必要。

 

 但しここでの特性は電気系での特性でかなり特性に差が出るが実際の試聴試験では個人的に音質の差異を見つけることはできなかった。


*2.2012.02.28  追加修正 

*1.2012・01・18:追記、及び「SINE WAVE」の立ち上がり波形を追加