矩形波再生、先行音/室内音響②


 オーディオシステムで論議されている位相歪に関連して、反射や定在波のある視聴室で矩形波を再生したときの波形変化の様子を見てみる。

1.音源矩形波:数式及び周波数スペクトラム

矩形波 フーリエ級数・周波数スペクトラム

2.視聴室内の矩形波再生波形の観測

上段は原音(電気信号)下段が再生波形  矩形波500Hz,10波  以下同一

2-1.SP-MIC 近接測定

矩形波再生波形/近接測定

直接波が反射波より多いので矩形波は正確に再現される。(12cmシングルコーンSPなので低域の低下が大きいので上 と下は斜めになっている)無響室の特性に近い、またヘッドホンにも近い、と言えるだろう。

2-2.SP-MIC 視聴ポイント①

   SP/MIC 1.8m MIC位置:上下後面壁 1.5m 程度 両サイド壁 2~6m)

矩形波再生波形/視聴ポイント①

 確かに波形はグチャグチャになる。500Hzあたりが抜けてるよう見えるがレベルは

小さくても 継続している。500Hz付近で反射による打消しか、定在波の節の近くにあたるのか。

2-3.SP-MIC 視聴ポイント②

    視聴ポイント①から少し左にずれたポイント

矩形波再生波形/視聴ポイント②

上の場所とは反対に500Hz付近が成長している。反射で足し合わさっているか、定在波の腹 に当たるのか。

(ちなみに我が家の残響時間は0.2~0.3秒。残響時間は60dB減衰までの時間でこのグラフ の幅よリ長い)

3.試聴テスト

 この実験は500Hz矩形波を10波(20ms)無音90波(180ms)計200ms を 繰り返している中から取り出した(おおよそ60ms分)です。

部屋の中を歩き回り聞いてみると、あまり差は感じない。

4.実験まとめ 

 ある周波数成分では反射波が足し合わされたり打ち消しあったりし、波形は成長したり減衰した り千差万別 、場所により波形は大きく変化するが、聴いた感じ大きな差は感じられない。

  先行音部分、頭の2~3波まで、時間としては4~6ms(1.4~2.0m相当)の範囲は直接音が先に到達し矩形波はかなり正確に再現される。反射波や定在波はそれ以降に遅れて到達するので位相の関係は大きく崩れ波形は崩れる。

 部屋の中を歩き回り聞いてみると、あまり差は感じない。これは先行音効果として同じ音に聞こえるのか???

 

 参考:先行音効果、音響学会では定説らしい。三つのモードがあるらしい。(ハース効果、クリフトン効果、フラッセン 効果)音の定位に関することらしい、音色(音質)にも関係あるのか未確認。

履歴:2012.03.02:試聴テスト音源修正