(Digital channel divider, Dividing network)
デジタルチャンネルデバイダー(ベーリンガー DCX2496)がリーズナブルの価格で入手出来る。
飛躍的な多機能を達成しており詳細な設定が可能で、その諸設定の状態を読み出し簡単に切り替え出来る。
またPCにRS232でリモート接続でき、設定・切り替えが出来る。
この為いろいろなSPユニットによって各種定数を切り替え比較検討するのに無くてはならない有益な機材である。
一方、3WAYスピーカーシステム(アンプ出力端子とSPの間にLCRフィルタ)方式はSPユニットや、クロスオーバー周波数 を変 えるたびに最適なLCRを作製するのはかなり大変である。
デジタルチャンネルデバイダー「DCX2496」の測定
次ページ以降に掲載している、周波数特性や位相特性その他諸特性の測定を行う。
使用機材:BEHRINGER DCX2496
加算回路(各周波数帯域を合成しシュミレーションする為、オペアンプによる自作回路)
USB AUDIO INTERFACE UA-1EX
使用ソフト:ARTA:IMPULSE(PRE Delay 約 6.25ms)
ARTA:STEPS(Dual Channel 法、
その他:DCX2496 には信号のディレイが 0.81ms 程度ある。測定内容によつては微調整が必要。
1.Butterworth 6/6 ,12/12, 24/24 dB/oct 周波数特性
赤線:6/6 dB/oct、
青線:12/12 dB/oct、
黒線:24/24 dB/oct
クロスオーバー周波数:1000Hz
クロスポイント信号レベル : -3dB
2.Bessel 12/12dB/oct, 24/24dB/oct 周波数特性
青線:12/12dB/oct
クロスポイント信号レベル:-5dB
黒線:24/24dB/oct
クロスポイント信号レベル:-8dB
3.Linkwitz-Riley 12/12dB/oct, 24/24dB/oct 周波数特性
青線:12/12dB/oct
黒線:24/24dB/oct
クロスポイント信号レベル:-6dB
3-1.(追加)フィルタータイプ別特性差:12dB/oct 周波数特性
赤線:Butterworth
青線:Bessel
黒線:Linkwitz-Riley
4.6/6, 12/12, 24/24 dB/oct 位相特性
赤線:6/6 dB/oct
青線:12/12dB/oct
黒線:24/24dB/oct
ハイパスフィルタの位相は+側
ローパスフィルタの位相はー側
クロスポイントでの位相は(次数)×45度となる
6dB/oct(1次):+45度、-45度
12dB/oct(2次):+90度、-90度
24dB/oct(4次):+180度、-180度
注:ButterworthとLinkwitz-Lileyの位相特性はほぼ同じ
24dB/oct 曲線で乱れているのは信号レベルが低下した周波数で、ノイズレベルなどの影響。
1.クロスオーバー周波数に於いて合成する、各帯域の位相差、信号レベルの関係
周波数特性がフラットとなる「位相」と「信号レベル」の関係を代表例でまとめると下記のようになる。
フィルタ 特性 | 下の帯域 | 上の帯域 | 上下の帯 域位相差 | 信号レベ ル | 信号の合 成 |
1次 6dB/oct Butt | -45度 | +45度 | 90度 | -3dB | ベクトル加算 |
2次 12dB/oct L-R |
-90度 |
+90度 |
逆接続で 0度 |
-6dB |
実数加算 |
3次 18dB/oct Butt |
-135度 |
+135度 |
90度 |
-3dB |
ベクトル加算 |
4次 24dB/oct L-R |
-180度 |
+180度 |
0度 |
-6dB |
実数加算 |
8次 48dB/oct L-R |
-360 度 |
+360 度 |
0度 |
-6dB |
実数加算 |
Butterworth:クロスオーバー周波数での位相差は90度でベクトル加算される。
信号レベルはー3dB (1/root2)で加算され周波数特性がフラットになる。
奇数次(1次と3次)では上下帯域の位相差90度になるのでこのタイプを使うと良い。
Linkwitz-Riley:クロスオーバー周波数での位相差は0度で実数加算される。
信号レベルはー6dB(1/2)で加算され周波数特性がフラットになる。
偶数次(2,4,8次)では上下帯域の位相差0度になるのでこのタイプを使うと良い
2.合成後、全帯域の周波数、位相特性
( 3Way クロスオーバー周波数:300Hz、3kHzの特性例)
2-1. Butterworth 各帯域周波数特性、各帯域合成時の周波数、位相
Butterworth式では
奇数次の時、位相差90度のベクトル加算となりF特がフラットになる。
偶数次の時、位相差0度の実数加算となり3dBのピークが出る。
2-1-1.6dB/oct(1次)
各帯域合成極性:
LOWー正 MIDー正 HIGHー正
合成帯域内の位相:ずれ無し
2-1-3. 18dB/oct (3次)
各帯域合成極性:
LOWー正 MIDー正 HIGHー正
合成帯域内の位相:2ヶ所で ±180度までずれる
2-1-2.12dB/oct (2次)
各帯域合成極性:
LOWー正 MIDー逆 HIGHー正
合成帯域内の位相:1ヶ所で ±180度までずれる
2-1-4. 24 dB/oct (4次)
各帯域合成極性:
LOWー正 MIDー正 HIGHー正
合成帯域内の位相:2ヶ所で ±180度までずれる
2-1-5. 48 dB/oct (8次)
各帯域合成極性:
LOWー正 MIDー正 HIGHー正
合成帯域内の位相:4ヶ所で ±180度までずれる
2-2. Linkwitz-Riley、Bessel 合成時周波数、位相特性
Linkwitz-Riley方式では
偶数次(2次、4次、8次)の時、位相差0度の実数加算となり周波数特性がフラットになる。
Bessel方式では少しうねりが生じる。
この項の特性はチャンネルデバイダー単独(電気的)の特 性。
実際にはスピーカーの特性が加算され、特にSPの位相の値によっては
大きく変わる事があります。
「チャンネルデバイダ、SP接続時特性」を参照ください。
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*4:2012.04.16日 各帯域周波数、位相特性を追加
*3:2012. 02.28日 追加修正
*2:2011. 12.06日 タイプ別周波数、位相特性を追加
*1:2011.11.30日 図面差し替え。一部補足