*使用ユニット クロスオーバー周波数
●TANNOY 38cm
コーンタイプ ウーハー
バスレフボックス
クロスオーバー周波数 : 300Hz
位相:0度/300Hz
●ONKYO 12cm
コーンタイプ スコーカー
密閉小型ボックス
クロスオーバー周波数:300Hz,4.5kHz
位相:+50~60度/300Hz
●FOSTEX
リボンタイプ ツイター
クロスオーバー周波数:4.5kHz
1.チャンネルデバイダのフィルター次数の組み合わせと周波数特性
図 1-1.6/6dBの組み合わせ
黒線:正相接続、計算上も5dB程度下がる
青線:逆相接続、計算上も2dB程度上がる
チャンネルデバイダ6/6dBの組み合わせで、正相、逆相接続の値はチャンネルデバイダー:SP接続時特性、ベク トル図解析と良く一致する。 正相接続ではSP位相45度が加わり135度のベクトル加算になり5dB程低下している。しかも周波数のかなり広い範囲に影響が出ておりきわめて悪い状 況だ。
逆相接続にすると45度ベクトル加算になり2dBほど上がりすぎている。
図1-2.6/6dB,12/6dB組み合わせ
青線:6/6dB:正相接続、計算上も5dB下がる
黒線:12/6dB:逆相接続、計算上も0dB
チャンネルデバイダ12/6dBの組み合わせ:Spの位相45度が加わり12/12dBに相当、従って逆相接続す る。きわめて良好なつながり。ユニット間位相差は0度。
図1-3.6/6dB,18/12dB組み合わせ
青線:6/6dB:正相接続、計算上も5dB下がる
黒線:18/12dB:正相接続、計算上も0dB
同様にチャンネルデバイダー18/12dBの設定、SPの位相が加わり18/18dBに相当、従って正相接続す る。同様良好、ユニット間位相差は90度。
マルチアンプを始めた最初の間は、合成後の位相特性、インパルス応答、ステップ応答等を気にし6/6dBの組み合わせにこだわっていた。(合成後の位 相特性は音質に差が無いことが有力な説であり、基本要件:位 相群遅延と試聴実験でも個人的にも音質に差がないことを確認できた)
一次のフィルタ組み合わせではクロスオーバー周波数で位相差90度のベクトル加算になるように設計されており、そこにSPの位相45度を組み合わせると位相差135度のベクトル加算になり5.3dBものレベルの低下が起こり、試聴の結果にも音質劣化が確認できる。
対策は 図1-2.12/6dB(逆相接続)の組み合わせや 図1-3.18/12dB(正相接続)
(中域スピーカーの位置を位相差45度分後方に下げるやり方はうねりが生じるので注意が必要です)
余談:最初のころは6/6dBの組み合わせで、低域のクロスオーバー付近のレベル低下に悩まされ12cmスコーカーを16cmのユニットに変えたりしたが解決し なかったのが 今回の解析実験で原因が解った。
又、この中低域のレベル低下が柔らかさはないが、パリパリした如何にも位相リニア―の素晴らしいハイスピード音質??と思っていました。
ツイターは 低い周波数のほうえレベル低下するものが多く、フィルターの次数を上げると特性がもろに出るものがある。
12/12dB逆接続:電気的に特性が良いLinkwitz-Rileyタイプでは位置を調整してもやはりレベルが低下(青 線)
Butterworthタイプにするとほぼフラットにできた(黒線)
Butterworthタイプ 本来90度でベクトル加算されるように設計されているが、ツイターの位置を調整し位相差0度に調整すると3dB レベルを上げる事が出来る。
以上の結果から、SPユニットの特性を把握しておくことが必要です。今回はSP位相が45度で丁度フィルタの1次数に相 当するので割りと単純でしたが、15度、30度、60度などや、SPの周波数特性の違いなど異なります。「チャンネルデバイ ダーSP接続時、ベクトル図計算」のEXCEL計算表などでシュミレーションすると、正確で安心できる設定が出来ます。
又位相角が小さい時には「PHASE」のパラメターを微調整すれば良い結果が得られるでしょう。
チャンネルデバイダ:クロスオーバー付近のF特:SP接続時特性と対応②も参照ください。
追記
12/12dB/oct のフィルタの場合正逆どちらが良いかの論議があるようですが、SP単体の位相が45度で使用する時は正相接続の時は位相差135度になり、逆相接続の時 45度になり、逆相接続が良いでしょう。
コンプレッションドライバホーンの場合SPの位相90度で使用すると、正相、逆相接続共に位相差は90度になりどちらでも良 いということになるでしょう。
但しいずれもSPの位相を考慮したフィルター次数を使用していないのでクロスオーバー周波数附近で特性にうねりが出たりして いるものと推定されます。マルチアンプ、スピーカー②を参照
私自身驚いているのは、6/6dB/oct 組み合わせの場合正相接続と決め付けて、自作のチャンネルデバイダーを使用していたので、色々変えて実験できず、SP単体の位相が加わり加算ではなく打消 し気味になり、レベルが大きく低下していることに気付かなかった。
デジタルチャンネルデバイダーを使用することで、いろいろのSPユニットに対し多様な組み合わせで対応出来ることが解る。
以下個人の感想です。
フィルターの特性の組み合わせで音のイメージはかなり違うように感じる。
試験に使用しているSPシステムは38cmウーハーと12cmスコーカー、この軸間距離は垂直方向に35cm。バスレフタイ プで使用するときはポートまでは約1m。
これはSPと試聴ポイント1.5~2mに対し無視できない大きさである。
①. クロスオーバー付近でウーハーとスコーカーの間の位相差は、チャンネルデバイダ6/6dBの時位相差 は90度SP位相45度が加わり135度これは逆相に近い、試聴感は両ユニット間に音が広がる、残響感がある。
(臨場感がある???)、カサツク、逆相に近く中低域のレベルの低下が大きいからだろう。(300Hz付近の直接音は計算上 5.3dB減衰している、反射音の割合が増える。このため残響感があるのだろう)
②.この状態でウーハーを逆接続すると位相差は45度になりレベルが少し上がりぎみだが中低域が充実し自然 な感じ。
③.チャンネルデバイダーを12/6dBにし逆接続すると位相差は0度になり同じように自然な感じになる。
④.24/24dBの時 0度 SP位相45度が加わり45度これは同相に近い フィルターのカット特性の差でウーハーからスコーカへの音のつながりが変わると思われるが上記①の12/6dB逆接続したものとの変化は微妙。
個人的には両ユニット間の位相差0度の ③.12/6dBの逆接続が良いように思う。
24/18dB 正相接続も位相差0度になりよい結果が得られると思う。