1.使用ユニット
Pioneer 28cm ウーハー
クロスオーバー周波数:750Hz 位相:0度
ALTEC セルラーホーン(806A+811B)
クロスオーバー周波数:750Hz 位相:90度
2.シュミレーション
チャンデバ単独では Linkwitz-Riley(L-R) 12/12dB/oct 逆相接続の設定で上下の帯域で位相差0度、周波数特性平坦に設計されている。
ここに90度のずれがあるユニットを接続すると正相、逆相接続共に位相差90度、従って周波数特性は3dBのレベル低下が起 こる。
Butterworth 12/12dB/oct では同様にして、位相差90度、周波数特性平坦になる。
しかしいずれも上の帯域のみにSPの位相曲線と周波数特性が加算され上下帯域の位相曲線と周波数特性がかなりずれているのでクロスオーバー周波 数の周 辺で周波数特性にうねりが出るものと推定される。
これらの欠点を解消するために L-R 24/12dB/oct に設定すれば上下帯域の位相曲線と周波数特性が近似し最良の特性が期待できる。
計算式など詳細は:オーディオ/チャンネルデバイダ-sp接続時特性と対応-ベクトル図解析計算/ を参照ください。
3.タイムアライメント
インパルス応答で測定してみる。
但し、フィルタを通して測定するとフィルタの特性で変わるし分り難いので、チャンデバのフィルターを「OFF」にして測定 す る。(信号レベルに注意が必要、壊す恐れあり)
まず信号ディレイはかけない状態で測定し音源の位置を算定。
ウーハーのピーク位置:6.375ms
スコーカーのピーク位置:7.042ms
差:7.042-6.375=0.667ms
(0.667/1000×345×1000=23cm)
左の結果よりウーハーに「DELAY」を使いディレイタイム:0.667ms(23cm)を設定後のインパルス応答
4.チャンデバフィルタ特性の組み合わせと周波数特性(2.シュミレーション参照)
4-1-1. Linkwitz-Riley 12/12dB : 正相、逆相接続の特性比較
青線:正相接続
黒線:逆相接続
シュミレーション通りクロスポイント(750Hz)では正相逆相とも位相差90度のベクトル加算となりレベルが3dB落ちている。
クロスポイントの上と下ではレベルが反転している。これは上の帯域だけSPの90度の位相と周波数特性が加わった値を加算するか減算するかによって差が出ていると思う。
4-1-2. Linkwitz-RileyとButterworthの特性比較
青線:LinkwitzーRiley
黒線:Butterworth
いずれも正相接続
シュミレーション通り、両帯域の位相差が90度のベクトル加算になっているのでButterworthの方がフラットになる。
4-2. Linkwitz-Riley 12/12dB と 24/12dB の特性比較
黒線:フィルタ 12/12dB/oct
青線:フィルタ 24/12dB/oct
シュミレーション通り。
青線は上の帯域でフィルタ 12dB/oct (2次)+SP90度(2次相当)で合計4次、下の帯域はフィルタが4次で上下の位相曲線と周波数特性がほぼ合っており、クロスポイントの上下も適正なレベルになって いる。
5.まとめ
タイムアライメント:フィルター無しで両ユニットを同時に駆動しインパルス測定すれば実効的な振動板位置を検出算定できる。
ユニット位置が固定されている場合は振動版位置が前方にあるユニットに「DELAY」を設定する
タイムアライメント後はシュミレーションと実測値は良く一致する。
SPの位相を加えた次数で上下帯域のフィルター次数を合わせるように設定すれば、クロスポイント付近の特性「うねり」も無く良好 に設定でき る。
音質の点では、合成時の上下帯域の位相差を無くすことが良いと思う。
この実験に使用したユニットの場合、Linkwitz-Riley 24/12dB/oct の組み合わせが最適。
注:振動版位置のずれを「PHASE」で調整すると周波数全体の位相がずれ周波数特性にうねりが出る。チャンネルデバイダー・ 「PHASE」「DELAY」を参照ください。